遺伝子組み替えは不要と考えます


地球上のあらゆる生物は共生、寄生、食うもの、食われるものの連続した関係をもち、まさに一つの巨大な有機結合体を構成しています。

あらゆる生物の個々の遺伝子はそれぞれの個体で完結しているように見えますが、実際はどの生物個体も食物連鎖のなかで他の生物個体を取り込んで生きております。この生物個体はその遺伝子が作り出したものです。

すなわち、生物個々の遺伝子は連鎖する他の生物の遺伝子があって初めて完全なものとなります。したがって巨大な有機結合体は言い換えれば地球上で人間も含め、唯一の巨大遺伝子結合体となっています。

この巨大遺伝子結合体は長い時をへて調和のとれた安定したものとなっています。もしも突然、ある完全なるものの意志で巨大遺伝子結合体に変更を加えなければならなくなったとしても、人間も含めた地球上の全ての生物個体への影響を考慮した長い時がふたたび必要です。

この調和と安定の長い道のりを想像すれば、人間の気まぐれの思いつきで遺伝子を組換えても短時間では効果も影響も確認できませんし、将来に悪影響のでる可能性は非常に高いと考えます。現在安定している巨大遺伝子結合体に人間が手を加えることは全く不要と考えます。

除草剤に強い大豆、いりません

輸入大豆には遺伝子組換えのものが多数含まれています。

この中には大豆の味や栄養価を高めるためではなく、海外の除草剤の大メーカーが自社の製品に大豆がやられないようにするために遺伝子を組換えたものが含まれています。

この大豆からは種が取れませんので農家は毎年この会社から除草剤と大豆種子をセットで買うことになります。

大豆の根は生育中に多数の土壌微生物、特に根粒菌と強い共生関係を作ってこれから養分を得ます。

また葉では太陽光で光合成をおこないエネルギーや大豆のもとのデンプンを作りだします。またタンパク質を合成して枝葉を作りながら大豆にたくわえます。

これら大豆の生体活動の全ての根源が大豆の遺伝子です。この遺伝子は長い年月の間自然淘汰され、現時点では完全なものなのです。ところが遺伝子組換えをする人々はこの大豆の全遺伝子の機能を完全に解明しないままに組換えに走っています。

生物進化のレベルの長い長い時間をかけた大豆と根粒菌の関係や、できた大豆の家畜や人間への毒性試験は行なわれていません。そもそもこの大豆のタンパク質やでん粉がまともに体に吸収されているかどうかは不明です。子孫や環境への悪影響をおしてまでこのような遺伝子組換え大豆を食べるわけには行かないと考えます。

稲は南方系、北限があります

平成15年、また北日本を冷害がおそいました。稲は南の地方を起源とする植物のために低温や日照不足で不作になる場合があります。

稲の品種開発は食味優先なので耐冷性は後回しになりがちです。そこで研究機関では時間のかかる交配ではなく、遺伝子組換えで良食味稲に別の耐冷性稲の遺伝子を入れて新品種を開発しようとしています。

稲が冷害に強くなるためには根、茎、葉、穂の耐冷性が良くなること。低温でも根の養分吸収力が落ちないこと。

少ない日照でも葉の光合成が活発であること。等々、一つのシステムとして考えなければなりません。稲遺伝子の中のたった一つの部分だけが耐冷性を受け持っている訳ではないはずです。

遺伝子の中のそれぞれの部分の関係を調整しながらこの組換えを行なおうとすれば、稲が自然淘汰しながら南方から北方へ新しく移動する位の膨大な時間がいるでしょう。

平成15年の場合、同じ品種でも田植時期の違いで被害の程度に差がありました。また、堆肥を毎年使っていたため被害が少ない例も見られました。このように稲作は遺伝子組換えではなく栽培方法や従来の交配による品種開発で冷害を乗り越えてゆくべきです。

もしもこれらの方法で解決できなければ適地適作の原則に戻ってその土地に適した作物にきりかえてゆくべきです。危険な遺伝子組換えで解決しようというのは人間のおごりです。

BSEは異常プリオンの警告

BSEの発生は様々な問題を投げかけていますが遺伝子組換えに関しても非常に根源的なことを示唆しています。

私たちが食べたものが吸収される場合分子レベルである程度細かく消化されます。

たとえばタンパク質はアミノ酸に分解されて吸収されます。そして体内でタンパク質の合成に再利用されます。

ところで、BSEは異常プリオンが原因で発生します。

プリオンとはタンパク質の仲間で詳しくはわかっていませんが脳及び神経組織で特別の働きを行なっている物質です。

BSEの異常プリオンは正常なプリオンとアミノ酸配列は全く同じですがその中の一部の分子の結合位地が正常なものと異なっているために立体構造に違いがあります。

このプリオンが消化吸収されるときは一般のタンパク質と違いアミノ酸に分解されずにそのままの形でおこなわれ、脳や神経組織に移動します。

そして異常プリオンがある程度脳に蓄積すると、もともとあった正常なプリオンまでも異常プリオン化してBSEが発症します。

BSEは文献等によりますと数百年前のヨーロッパで羊に似た症状が確認されています。

その後いつかの時点でこのような症状の羊の脳あるいは骨、内臓が牛のえさとして与えられたことがBSEへとつながったと考えられますが、そもそも数百年以上前にある動物の遺伝子に異変がおこり異常プリオンが作られたのがことの発端でしょう。

このように異常な遺伝子やその遺伝子が作り出したものが一度食物連鎖の輪に入り込むと長い間消滅せずに自然界に被害をもたらすことが考えられます。

遺伝子を組換えることは人類だけではなく自然界全てに対して未来永劫に全責任をもつことです。あなたはできますか。